「桐島、部活やめるってよ」(2012年)
★★★★☆
監督:吉田大八
音楽:近藤達郎
出演:神木隆之介、橋本愛、東出昌大、清水くるみ、山本美月、
   松岡茉優、落合モトキ、浅香航大、前野朋哉、鈴木伸之、
   太賀、大後寿々花ほか
上映時間:103分
配給:ショウゲート

超粗筋
ある日突然、スクールカーストの最上位マンこと「桐島」が部活を辞めた。
突如いなくなった彼の周りでは、徐々に変化が起き始めていたのだった・・・。

感想
“青春のいいところも悪いところも全部”
凄い。観れば観るほどに味わいが増す、するめ映画だ。
青春の甘さと残酷さが同時にやってくる。
スクールカーストや、あの頃のあの空間特有の雰囲気が物凄くリアルに描かれている。
クラスの人気者、スポーツも勉強も出来て顔もいい悪意のない勝者、ステータスで友達や恋人を選ぶ女子、
内心思うところはあるがスクールカーストに縛られる女子、教室に居場所は無いが確かに自分を持っているお宅。
この映画には様々なキャラクターが登場し、誰もが誰かしらに共感、感情移入するのではないだろうか。
もし登場人物の誰にも、そしてこの映画のどこにも共感出来なかった人にはただただ退屈な映画かもしれない。

東出昌大の記念すべき映画デビュー作である。
棒である。その後散々言われて付きまとう言葉だが、確かに棒である。
だが、菊池宏樹という万能の勝者マンを演じる上ではぴったりのキャスティングだった。
なんでもできるからこそ何にも全力で取り組めない、すべてが中途半端で自分を持っていない、
まさに空洞マンの彼にはきっとカーストの最下層でありながられっきとした自分を持ったオタクが
眩しく見えてしょうがなかったのだろう。
彼の最後の涙はその現れなのだと私は認識している。

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